住栄ジャーナル

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  • 2024.10.18

不動産売却にかかる費用一覧!費用を抑えるコツや売却の流れを解説

不動産を売却する時は、仲介手数料や印紙税などのさまざまな費用がかかります。売却する前に支払うものもあるため、あらかじめ確認して事前に準備しておくとスムーズに手続きをすることが可能です。

本記事では不動産の売却時にかかる費用一覧や内訳、売却時の流れ、費用を抑えるコツなどを解説します。不動産の売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

不動産の売却時にかかる費用一覧

不動産を売却する時に発生する主な費用は以下のとおりです。売却する不動産の状態や売主の状況によって、必ず必要なもの・場合によっては必要なものがあるので、不動産の売却を考えている方は事前に確認しておくと安心です。詳しい内訳は後述します。

不動産の売却時にかかる費用 必要性 金額の目安 支払うタイミング
仲介手数料 必須 物件価格の3%+6万円+消費税
(物件価格が400万円の場合)
売買契約時に半分、
引き渡す時に半分
印紙税 必須 1,000円〜数十万円 売買契約書の作成時
抵当権抹消費用 場合による 1,000円〜3万円 契約終了時
ローン返済手数料 場合による 0〜返済金額の2% 手続き時
引っ越し代 場合による 3〜30万円ほどかかる 作業の前後
土地の測量費 場合による 30〜100万円 測量完了時〜引き渡し時
建物の解体費 場合による 100〜300万円 支払うタイミングは業者と話し合う
ハウスクリーニング費 場合による 5〜15万円 支払うタイミングは業者と話し合う
引越し費用 場合による 3〜30万円 支払うタイミングは業者と話し合う
必要書類の取得費 場合による 数百円〜 取得時に支払う

 

不動産の売却時にかかる主な費用の内訳

不動産を売却する時にかかる費用は、売却価格の4〜6%といわれています。費用を考えず、売却価格だけを重視していると後で後悔することになりかねないため、売却する前に自分の持っている不動産の場合は何にお金がかかるのかを確認しておきましょう。

ここでは、売却時に必須の費用と場合によっては必要になる費用を解説します。

1.仲介手数料

仲介手数料とは、不動産売却の仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料のことです。宅地建物取引業法によって仲介手数料の上限が決まっています。

物件価格 仲介手数料の目安
200万円以下 物件価格の5%+消費税
200万円超400万円以下 物件価格の4%+2万円+消費税
400万円超 物件価格の3%+6万円+消費税

仲介手数料を支払うタイミングは、不動産の売却が成立した時です。一般的には、売買契約を結んだ時に1/2、物件を引き渡した時に1/2を支払うことが多くなっています。

個人で買主を探せば仲介手数料は必要ありませんが、法律的な知識が必要なので物件によってはトラブルが起こる可能性があります。スムーズに安心して売却するためには不動産会社に仲介してもらうのがベストです。

2.印紙税

印紙税は売買契約書などの法的な書類を作成する際に収める税金のことです。収入印紙を購入して売買契約書に貼付する形で納付します。売買契約書1通ごとに課税されるため、売主・買主それぞれで1通ずつ印紙税を負担します。

もしも保管用に作成する場合は、その分印紙税がかかることに留意しておきましょう。

なお、平成26年4月1日から令和9年3月31日までは、売買契約書に記載されている金額が10万円を超えている場合、軽減措置の対象となります。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1千円 500円
100万円超500万円以下 2千円 1千円
500万円超1千万円以下 1万円 5千円
1千万円超5千万円以下 2万円 1万円
5千万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円

参考:国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

なお、不動産売買の領収書にも収入印紙は必要です。

3.登記・抵当権抹消費用

不動産を売却する時は、所有者を売主から買主に変更する「所有権移転登記」が必要です。費用の支払いは「所有権移転登記」をする時に買主側が行います。

また、売却する不動産に抵当権がついている場合は、抵当権の抹消費用が必要になってきます。抵当権がついている不動産は、ローンが返済されなかった場合の担保になっている状態です。

抵当権を抹消する手続きをしていないと、ローンが残っている不動産だと買主側が判断して、購入するのをためらう可能性があります。

抵当権の抹消手続きを個人で行う場合は、不動産1個につき1,000円かかります。司法書士に依頼する場合は、報酬を含めて5,000〜3万円ほど。自分で抹消することもできますが、書類の作成に時間や手間がかかり、専門知識も必要になるため司法書士に依頼するのが一般的です。

4.ローン返済手数料

ローン返済手数料は、売却する不動産にローンが残っている場合に、一括で返済する際の手数料です。ローンが残っていると売却することができないため、残債を一括で支払う必要があります。

もしも不動産の売却代金が返済金額を上回っていれば、一括返済することが可能です。手数料は金融機関や手続き方法によって金額が異なり、インターネットなら無料で手続きができる場合もあります。

5.引っ越し代

住んでいた家を売却して引っ越す場合は引越し代がかかります。費用相場は3〜30万円ほどで、荷物の量や引っ越す距離、時期によって金額が変わります。

また、不動産を買い替えて新居に移り住む場合は、「売却する家→仮住まい→新居」と2回分の引越し費用がかかることもあるので、引越しする回数を事前に確認しておきましょう。

6.譲渡所得税

不動産を売却すると、その利益に対して譲渡所得税がかかります。不動産を売却して利益が出たら、翌年に確定申告をして納税します。

譲渡所得税の計算式は「譲渡所得=不動産の売却価格ー不動産の取得にかかった費用ー譲渡する際にかかった費用」です。

売却する不動産の所有期間によって税率が変わります。

不動産の所有期間 税率2
所有期間が5年以下の不動産(短期譲渡所得) 39.63%
所有期間が5年超の不動産(長期譲渡所得) 20.315%

不動産を売却した時に利益が出なければ、譲渡所得税はかかりません。

7.土地の測量費

測量は土地の境界と面積を明確にするために行うものです。土地が100坪以下で約35~80万円の測量費用がかかります。土地の測量は義務ではありませんが、していない場合に売却価格の正しい査定ができなかったり、近隣トラブルに発展したりする可能性があります。

売却する土地の境界があいまい・わからないといった場合は、隣家とのトラブルを避けるためにも測量を行う必要があります。

また、測量をした証明になる「確定測定図」があると買主の安心につながり、スムーズに取引を行えるでしょう。なお、マンションは境界が明確に決まっているため、測量を行う必要はありません。

8.建物の解体費

土地の売却時に、売主側が建物を解体する際にかかる費用です。建物の構造や坪数の大きさ、立地条件によって金額は異なります。金額の目安は100〜300万円ほど。家を解体せずに土地ごと売却する際は、解体費用を差し引いた額を売買金額とすることが多くなっています。

9.ハウスクリーニング費

ハウスクリーニング費は清掃専門の会社に依頼するとかかる費用のことです。売却する不動産は、買主に引き渡す前にきれいにしておくのがマナー。キッチンやお風呂まわりの清掃を依頼する人が多い傾向にあります。

相場は1〜15万円ほどで、ハウスクリーニングを行う部屋や内容、量によって金額が違います。ただし、売却後にリフォームをする場合はハウスクリーニングをする必要はありません。

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10.書類の取得費

不動産を売却する際は、住民票や印鑑証明などの書類が必要です。取得する際に1通数百円〜の費用がかかります。

<不動産の売却時に必要な書類>

  • ・住民票
  • ・印鑑証明
  • ・登記識別情報
  • ・固定資産税評価証明書

書類を取得する費用の他、移動する際の交通費や郵送費がかかる場合もあります。

不動産を売却する時の流れ

不動産の売却は時間も手間もかかります。そのため、まずは適正価格を自分で調べて、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。ここでは不動産を売却する際の流れを解説します。

不動産の相場を調べる

売却する前に、自分が持っている不動産の相場を調べましょう。価格が相場より高すぎると買い手がつかず、低すぎると売主が損をする可能性があります。

不動産会社に査定を依頼する前に、自分でも相場を知っておくことと、提示された金額が妥当なのかの確認もできます。不動産の適正価格を知るために一般的な相場を調べることは大切です。

複数の不動産会社に査定を依頼する

相場がどのくらいなのか調べたら、複数の不動産会社に査定を依頼します。査定は無料でしてくれるところが多いので、2〜3社の不動産会社に査定を依頼して、金額やサービスの比較をしましょう。

高額な取引になるので、対面で担当者の対応や不動産会社の社内の雰囲気などを見て決めることも大事です。査定は1週間〜10日ほどで結果が出ます。

スムーズに進めば5〜6ヵ月ほどで不動産の売却ができますが、買い手の状況や価格交渉によって長引くことがあります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼して、信頼できる会社を選ぶことが重要になってきます。

媒介契約を締結・売却活動をする

不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。媒介契約は、不動産を売却する時の方針や不動産会社が受け取る報酬を決める契約のことです。媒介契約には以下の3種類があります。

確認する項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる不動産会社の数 複数可能 1社のみ 1社のみ
自分で買主を見つけて取引をする 可能 可能 不可
不動産会社から買主への活動報告義務 法令上の定めはなし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約期間 法令上の定めはなし
(一般的には3ヵ月)
3ヵ月以内 3ヵ月以内
レインズへの登録義務
(不動産会社だけが利用できる物件サイト)
なし あり
(契約から7日以内)
あり
(契約から5日以内)

媒介契約を結ぶと、相場や査定額などをもとに不動産の売却価格を決定し、不動産会社の主導で売却活動が進みます。この段階で不動産の購入を検討している人から価格交渉が入ることもあります。

売買契約を締結する

買主が決まったら、住宅ローンの事前審査後に不動産売買契約を締結。もしも、買主側が住宅ローンの事前審査に通らなかった場合は契約解除となります。

売買契約をする時は売主と買主が不動産会社に集まります。重要事項の説明・売買契約書に捺印、手付金の授与、仲介手数料の半分の支払いなどを行います。

不動産の引き渡し・決済をする

売買契約で定めた日時に引き渡しと決済をします。売主・買主・不動産会社の担当者・司法書士などが集まり、不動産会社への仲介手数料、司法書士に登記費用を支払って決済が完了。

もしも売主の住宅ローンが残っている場合は、金融機関にも返済を行います。決済後は不動産を引き渡し、ここで不動産会社とのやり取りが終了になります。

不動産の売却時に費用を抑えるコツ

不動産によっては、売却する時に想定していた以上に費用がかかる可能性があります。できるだけ費用を抑えるには、不動産会社や業者の見積もり費用の確認、自治体の補助金制度、税金控除などの利用をすると良いでしょう。

不動産を売却する時にかかる費用を節約するコツを紹介します。

複数社で見積もりをとる

不動産の売却にかかる費用は依頼する会社によって違います。できるだけ売却費用を抑えたいなら複数社の費用を比較するのが大事。

比較するのは不動産会社だけではなく、ハウスクリーニングを依頼するなら清掃会社、引越しを依頼するなら引越し業者など、依頼するものに応じて、それぞれ複数社の見積もりをとることが節約するポイントです。

ただし、費用の安さだけで選んで不動産の査定額が低かったり、その根拠が明確でなかったりすると、売却時に後悔する可能性もあります。選ぶ際は、金額や納得できる情報を提示してくれる会社や業者を選んでください。

売却時に損をして後悔しないためにも、依頼するものによってそれぞれ2〜3社で見積もりを取って比較検討しましょう。

費用の値引き交渉をする

売却時に依頼する業者によって値引き交渉ができる場合があります。交渉に応じる可能性があるのは、不動産会社、引っ越し業者、清掃業者、解体業者です。

値引き交渉で他社の見積もりを活用するのも一つの方法です。過度な値引き交渉は避けるべきですが、見積もり時に高めの金額に設定している場合があるため、予算が不足しそうな場合に相談してみると良いでしょう。

自治体の補助金制度を利用する

自治体によっては補助金が支給される場合があります。例えば、空き家の解体工事をする際に補助金が適用されると、売却時の費用を抑えられます。

また、空き家となった家に住むためリフォームをする場合に、補助金が支給されることも。不動産を売却する際に、購入希望者に補助金の存在を伝えることで前向きに検討してもらえるメリットもあります。

自治体によって条件や金額が異なるので、事前に最新の情報を確認をするのがおすすめです。

税金控除や特例を利用する

確定申告をすることで、税金の控除や税率を下げる特例が適用される可能性があります。

控除・特例 特徴 条件
3,000万円特別控除 譲渡所得のうち最高3,000万円を差し引きできる ・現在住んでいる
・単身赴任の場合は配偶者が住んでいること
・転居している場合、転居後3年目の年末までに売却
など
相続・遺贈により取得した空き家の3,000万円特別控除 譲渡所得のうち最高3,000万円を差し引きできる ・平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却した不動産
・昭和56年5月31日以前に建築されている
・区分所有建物登記がされている建物ではないこと
・相続開始の直前に被相続人以外に居住をしていた人がいない
軽減税率 ・所得税、住民税、復興特別所得税の軽減税率が適用される
・3,000万円特別控除と併用できる
売却した時点で10年以上所有している

 

不動産の売却時にかかる費用の注意点

売却時には代金が入るだけではなく費用もかかります。また、売却した翌年の2月中旬〜3月中旬には確定申告があるため、そのための資金を残しておく必要もあるため、以下の注意点を押さえておきましょう。

売却時は資金がかかる

不動産を売却する時はその代金が手に入りますが、前述したとおり費用もかかります。不動産の状態、売主の状況によっては思っていた以上に費用がかかる場合も。

不動産を売った金額をそのまま受け取れるわけではないので、売却した場合の手元に残る金額をあらかじめ確認することが大切です。不動産を売却する前にどのくらい費用がかかるかシミュレーションしておきましょう。

確定申告をする必要がある

不動産を売却した場合に忘れてはならないのが翌年の確定申告です。売却して利益を得た場合は譲渡所得として税金が課せられ、2月16日から3月15日までに確定申告をしないと無申告加算税や延滞料がかかります。

もしも確定申告を忘れた場合でも、できるだけ早く申告してください。ただし、不動産を売却して利益が出なかった場合は確定申告は不要です。

不動産の売却時に必要な費用を押さえておこう

不動産を売却する時は仲介手数料や印紙税が必須です。また、登記・抵当権抹消費用や引越し代など、場合によっては費用が増える可能性があります。

費用を抑えるには、依頼する会社や業者の比較検討や自治体の補助金を利用するのがおすすめです。売却する不動産によってかかる費用や利用できる制度などが違うため、まずは自分の持っている不動産を売却するとどのくらいの費用がかかるかをチェックしておきましょう。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。