住栄ジャーナル

JUEI JOURNAL

  • 2024.10.18

中古住宅は売却できる?査定のポイントや売却の流れ・費用などについて解説

中古住宅を売却したい人には「中古住宅を相続した」「家を売って資金にしたい」など、さまざまな理由があります。この記事では中古住宅の価格の決まり方、売却の流れと売却にかかる費用などについて解説します。適正な価格で中古住宅をスムーズに売却できるよう、しっかりと理解しておきましょう。

中古住宅の売却は安くなる?

中古住宅は新築と比較すると安いですが、中古住宅だからといって極端に価格が低くなることはありません。新築よりも購入金額を抑えられるので、高い需要があります。

中古住宅の売却価格は年々上昇傾向にあるので、中古で買った家でも売却できます。タイミングによっては購入時よりも高く売れるかもしれません。

中古住宅の価格に影響するポイントはいくつかあり、築年数や立地、土地の状況などが高く評価されれば、中古住宅でも高く売却できる可能性があります。

中古住宅の価格の決まり方とポイント

中古住宅を売るときに必要なのは、その家がどのくらいで売れるか知ることです。一般的には不動産会社などに売りたい家の査定を依頼します。査定とは家がどのくらいで売れそうか適正な価格を調べることです。

不動産は同じものが全くない商品です。土地や建物、周辺の状況などそれぞれ違うので、不動産ごとに査定が必要です。ここではどのような点が評価されるのか、価格の決まり方やポイントについて解説します。

築年数

中古住宅の売却で大きなポイントとなるのが築年数です。一般的に築年数が増えるほど価格が下がってしまいます。築年数は土地の価格に影響はしませんが、建物は年数が経つにつれ劣化するため、築年数に応じて価格が下がり続けてしまうのです。

建物の使用状況・設備・間取り

購入希望者は劣化が少ない家を買いたいのが一般的です。そのため建物の使用状況や設備などは価格の査定に大きく影響します。

・家の外壁や屋根の劣化状況
・床や壁のひび割れなどの内装の状況
・水回りや配管などの設備状況
・雨漏りや白アリ被害などの有無

他にも暮らしやすい間取りであると高い評価になる傾向があります。例えば生活動線がうまく設計されているか、段差・階段の高さやバリアフリーかどうかなど、生活にストレスを感じない間取りかどうかをチェックしてみましょう。

土地の状況

住宅の建つ土地の状況も暮らしやすさに関わるので売却の価格に影響します。

・日当たりや風通しのよさ
・周囲に高層ビルなどの遮蔽物があるかどうか
・庭や駐車場の有無
・家に面している道路の状況
など

日当たりがよく風通しのよい場所は湿気やカビを防ぎ、住環境を向上させるので価格が上がりやすい傾向があります。家が北向きや遮蔽物があると日当たりが悪くなり、価格が下がりやすいでしょう。また家の前の道路幅が狭く、駐車場に車を駐車しにくいなどの点があれば価格が下がることがあります。

立地・周辺施設

生活が便利で暮らしやすく治安のよい場所は高い評価に繋がります。例えば最寄り駅からの距離、主要都市へのアクセスの良さ、スーパーやコンビニ、病院までの距離などです。

単身者、ファミリー、高齢者など、住む人の家族構成や年齢によって重要視されるポイントは変わるので、売却する際はどの層をターゲットにするのか考えておきましょう。

中古住宅の売却までの流れ

中古住宅の売却には準備が必要です。ここでは事前準備や売却までの流れを解説します。中古物件をスムーズに売却できるように段取りを整えましょう。

事前準備

中古住宅の売却前には、書類の準備、売却価格の相場把握、住宅ローンの残債の確認が必要です。

①必要書類の準備
中古住宅の売却を検討しているときには以下の書類を準備しておきましょう。事前に書類が揃っていると訪問査定や売却の作業がスムーズになります。

・身分証明書(運転免許証など)
・住民票・実印・印鑑証明
・登記事項証明書や登記謄本
・地積測量図や境界確認図
・建築確認済証や検査済証
・建築設計図書
・固定資産税納税通知書

②売却価格の相場を調べる
書類を準備したら、まずは自分で売却価格の相場を調べることをおすすめします。相場を知っていれば、中古住宅の売り出し価格や売却予定額を事前に想定できるでしょう。

相場は売却予定の中古住宅と条件が近い不動産を検索してください。インターネット上の物件情報サイトや国土交通省が運営するサイト「土地総合情報システム」を利用してみるとよいでしょう。

③住宅ローンの残債確認
住宅ローンを利用している場合、基本的に住宅の売却と同時にローンの完済が前提条件となります。まずは残債を確認し、ローンの返済計画をしっかり立てましょう。住宅の査定額が残債を上回る場合は売買代金だけで返済できますが、下回る場合は預貯金などを返済に当てる必要も出てきます。

査定を依頼する

価格相場や住宅ローンの残債を確認したら、次は家の査定です。まずは手軽にできるAI査定や簡易査定で調べることをおすすめします。

AI査定は、Web上で情報入力するだけでAIが自動計算し、その場で査定結果を得られます。簡易査定は、不動産会社に電話やメールなどで依頼でき、築年数や住所、間取りなどからおおよその査定額が算出可能です。AI査定よりも精度が高く、数日で査定結果を得られます。

本格的に売却を進める時には、不動産会社に訪問査定を依頼します。不動産会社によって査定結果は変わるので、複数の不動産会社に依頼し、査定結果を比較しましょう。

不動産会社を選び、媒介契約を結ぶ

複数の査定結果を比較し、その中から不動産会社を選んで媒介契約を結びます。査定額が適切な価格なのか判断するために、査定額の根拠をわかりやすく説明してくれる不動産会社がおすすめです。

販売実績がよく、売りたい中古住宅の売却が得意な会社を選ぶことも大切です。例えば一戸建ての売却が得意な会社や、マンションの売却が得意な会社があるので、目的に合った不動産会社を選んでください。担当者とのコミュニケーションが取りやすいか、という点も不動産会社選びの重要なポイントです。

買手を探す

不動産会社と媒介契約を結んだら相談の上、物件の売り出し価格を決めます。その後買手を探し、希望者がいれば内見をセッティングしてくれるので、いつ内見が来てもいいように家を片付けておきましょう。

売買契約を結び、決済・引き渡しをする

買主が決まったら売買契約を結びます。売却条件や価格、引き渡しの時期を決定し、引き渡しの準備をしてください。そして決済後、中古住宅を引き渡しましょう。

確定申告する

中古住宅を売却して利益を得た場合には、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告して納税が必要です。確定申告することで税金の還付を受けられることもあるので、自分が対象になるか確認し、必ず期間内に確定申告を済ませましょう。

中古物件売却にかかる諸費用

中古住宅を売却する際にかかる諸費用は、建物売却価格の約5〜10%です。仲介手数料が大半を占めますが、販売価格によって割合が変わります。不動産仲介で中古物件を売却する際の諸費用については以下を参考にしてみてください。

・仲介手数料:(売買価格×3%+6万円)+消費税
・抵当権抹消登記:1〜3万円
・ローン返済手数料:1〜3万円
・印紙税:1,000円〜6万円
・建物解体:100万〜300万円
・住宅診断:5〜10万円

中古住宅を売却するための3つのポイント

中古住宅をより早く高く売るためにはいくつかポイントがあります。ここでは中古住宅を売却するためのポイントを3つ紹介します。

①自分で相場を調べた上で、複数の不動産会社に査定してもらう
不動産会社の査定とは別に自分で相場を調べると、中古住宅の売り出し価格や売却予定額を事前に想定できます。自分で調べた相場と不動産会社の査定結果に大きな違いがあるときは注意しましょう。不動産会社によって査定結果が変わるので、複数の査定結果を比較・検討することが重要です。

②信頼のおける不動産会社を選ぶ
取引実績が多く、信頼のおける不動産会社を選びましょう。査定結果に疑問点がある場合には、その査定の根拠について明確に説明でき、納得できるような不動産会社が安心です。担当者とは話をする機会が多いので、円滑にコミュニケーションが取れることも重要なポイントです。

③余裕を持った売却計画を立てる
中古住宅の売却までは3ヶ月〜1年以上かかることもあります。不動産の売れやすい時期は2月〜3月、新入学や転勤などで引越しが多い時期です。売却を急いでいない場合は繁忙期に合わせるのも売却のコツです。

適正な査定を行い、スムーズに中古住宅を売却しよう

中古住宅であっても査定結果が良ければ高く売却することが可能です。まずは自分で価格相場を確かめ、複数の不動産会社からの査定結果を比較してください。信頼のおける不動産会社に依頼し、納得のいく中古住宅の売却を目指しましょう。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。