- 2024.05.19
不動産売買の手付金の3つの役割とは?金額相場や手付解除について解説

不動産売買の手付金とは、売買契約時に買主が売主に対して支払うお金のことで、後に売買代金の一部として当てられるものです。
不動産売買における手付金は「証約手付・解約手付・違約手付」といった3つの役割があります。また、手付金額の相場や手付解除についても理解を深めることが重要です。
この記事では、不動産売買の手付金の3つの役割や、金額相場に加え手付解除についても解説します。
目次
不動産売買における手付金の3つの役割とは

不動産売買における手付金には、以下の3つの役割があります。
- 1.証約手付
- 2.解約手付
- 3.違約手付
それぞれの役割についてわかりやすく解説します。
1.証約手付
証約手付とは、不動産の売買契約を結んだことを明確にする手付金のことです。売買契約時に買主が売主に支払います。
売主が手付金を受領した時点で、売買契約が成立したという証拠としての役割を持ちます。
2.解約手付
解約手付とは、売買契約を解除するときの代償としての役割がある手付金です。売主・買主どちらか一方の意志だけで契約解除できるようにするためのもので、多くの売買契約に用いられています。
民法の規定では、売主は手付金の倍額を支払って契約解除でき、買主は手付金を放棄することで契約解除できるとされています。
解約手付によって契約解除した場合、損害賠償などを負う必要はありません。
3.違約手付
違約手付とは、契約後に買主や売主のどちらかに債務不履行が認められた場合、違約金としての役割を担う手付金のことです。
例えば、買主が購入代金を支払わないなど契約義務を果たさなかった場合、手付金は没収されます。
反対に売主が期限内に不動産を引き渡さないなどの違約をした場合、手付金の2倍の額を違約金として買主に支払う必要があります。
不動産売買における手付金と内金や申込金の違い

不動産売買では、手付金以外にも内金や申込金と呼ばれるものがあります。これらは手付金とは違うものです。
ここでは、不動産売買における手付金と内金や申込金の違いを確認していきましょう。
内金とは
内金とは、住宅の建築を請け負った建築会社が施主から契約締結時に工事代金の一部を受け取ったり、その後合意のもと中間金として施主からさらに工事代金の一部を受け取ったお金を指します。
手付金と違い、放棄したり倍の額を支払ったりして契約解除するなどの法的根拠はありません。
一般的な不動産売買契約では、手付金が使われることが多く、内金が使われることはほぼないとされています。
申込金とは
申込金は申込証拠金とも呼ばれており、新築物件の分譲購入または、賃貸の希望者が意思を示して払うお金を指します。
分譲購入の場合は、売主の会社か代理会社が受け取って、契約時の手付金にするのが一般的です。賃貸の場合は、オーナーに代わって不動産会社が一時的に預かります。
契約を解除した場合、申込金は戻ってきますが、一時的な預り金であるので返金トラブルが発生することがあります。
不動産売買の手付金の金額

不動産売買における手付金の金額は、売主が不動産会社の場合と個人の場合で相場が異なります。それぞれの金額相場について詳しく見ていきましょう。
売主が不動産会社の場合は20%が上限
手付金は基本的に買主と合意の上であれば、自由に決定できます。例えば、契約時に売買価格の半分を払ってしまうことも可能です。
しかし、売主が不動産会社の場合は、消費者保護の観点から売買価格の20%が上限と宅地建物取引業法で定められています。
20%の範囲内であれば、売主・買主が協議をして金額を決めて良いとされています。
一方、売主が個人の場合は手付金の金額に上限はありません。
相場は不動産売買価格の5%
個人が不動産を売却する場合の手付金相場は、5%といわれています。その理由は、ほぼ中古の物件であるからです。
中古物件の売買で手付金が高いと、解約するときのペナルティが大きくなります。また、手付金が低すぎても売主・買主ともに契約解除がしやすくなり、トラブルに発展する可能性があります。
手付金は買主が不動産購入申込書を記入する際に、予定額を記載することが多いです。金額が低いと感じる場合は、仲介を依頼している不動産会社に交渉してもらうと良いでしょう。
不動産売買における手付金のタイミング

不動産売買における手付金のタイミングは、売買契約当日までです。また、手付金は現金で支払われることが多くあります。
ここでは、手付金のタイミングや現金で行われる場合が多い理由を確認していきましょう。
売買契約をするとき
手付金は売買契約をしたときに受け取るか、契約日当日までに受け取るかのどちらかになります。手付金の役割は売買代金の一部となるだけでなく、契約解除に備えて支払われるものです。
契約がスムーズに進んだ場合は、一般的には金銭の授受を省略するため、売買代金に充当することを契約書に記載していることがほとんどといえます。
手付金を引いた売却代金の残金は、引渡しのときに受け取るのが一般的です。
手付金は現金で行われる場合が多い
手付金の支払い方法は、現金でも振り込みでも問題ないとされています。しかし、不動産の売買契約は銀行が休みの土日に行われることが多いため、現金で行われる場合が多いです。
事前に手付金を振り込むと、契約前に売主が行方不明になるなどの事態が発生した場合、手付金が戻ってこない可能性があります。
契約当日に現金で渡せば、このようなリスクは回避できるでしょう。ただし、手付金だけでもかなりの大金になるため、持ち運びには十分注意が必要です。事前に銀行発行の小切手を用意しておくのもよいでしょう。
不動産売買で手付解除する場合

不動産売買で手付解除する場合、買主と売主どちらが解除するかによって対応が異なります。
違約金などのペナルティが発生する場合もあるため、事前に理解しておくことが大切です。
ここでは、不動産売買で手付解除する場合のポイントを確認していきましょう。
一般的には解除できる期限を記載する
一般的には解除できる期限を記載することが多く、契約日から10~14日前後程度とされています。
民法では、手付解除ができるのは「相手方が契約の履行に着手するまで」と定められていますが、履行に着手した日がわかりにくいためです。
また、買主が住宅ローンを利用する場合は、売買契約書に住宅ローン特約を定めます。これは融資未承認の場合の契約解除期日を設定し、その期日までにローンの審査が通らなかった場合、買主側から契約解除できるというものです。
すでに売主が受け取っている手付金は、無利息で買主に返します。融資未承認の場合の契約解除期日は、売買契約から1ヶ月程度が一般的です。
売主側が解除する場合は手付金の倍額を振り込む
解約手付の役割で記載した通り、売主が契約解除する場合は、手付金を無利子で返金するとともに、さらに手付金と同額を支払わなければなりません。
手付金の倍額を買主の口座に振り込むことで、契約が解除されます。
買主側が手付け解除する場合は放棄することになる
こちらも解約手付の役割で記載した通り、買主が契約解除する場合は支払った手付金を放棄することになります。
本来返ってくるはずの手付金を放棄することで、契約解除できる仕組みです。
しかし、契約期日を過ぎた場合や、売主が物件の引き渡しに向けて不動産の修理に取り掛かった場合などは、契約の履行に着手したとみなされ手付解除できません。
手付解除期限を過ぎた場合は違約金が発生する
手付解除期限を過ぎても契約解除は可能ですが、その場合は相手方に違約金を請求できます。
違約手付で記載した通り、買主がローン不申請の場合や残金を支払わない場合など、債務不履行があれば売主側が契約解除をし、買主側に違約金の請求が可能です。
違約金の額は売買契約書で定められるのが普通で、売買価格の10%程度が一般的とされています。売主がすでに受け取っている手付金を違約金が上回る場合は、差額分としてさらに請求できます。
反対に、売主側が期日までに引き渡しができないなどの債務不履行があった場合、買主から違約金を請求されると認識しておきましょう。
不動産売買する前に手付金について理解しておこう

不動産売買の手付金には「証約手付・解約手付・違約手付」の3つの役割があります。
手付金額の相場は、売主が不動産会社の場合は売買価格の20%以内、個人の場合は売買価格の5%程度が一般的です。
手付金は契約当日までに現金で対応することが多いといえます。今回の記事を参考に、不動産売買をする前に手付金について理解を深めておきましょう。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
