住栄ジャーナル

JUEI JOURNAL

  • 2024.08.15

二世帯住宅は売却しにくい?その理由と売却方法、ポイントも併せて解説

二世帯住宅は通常の戸建てに比べて需要が少ないため、売却しにくい傾向にあります。二世帯住宅は3種類あり、それぞれ適した売却方法があります。どの種類にあたるか確認し、最適な売却方法を選ぶことが必要です。この記事では、二世帯住宅の種類に応じた売却方法、売却の際のポイントについて解説します。

二世帯住宅が売却しにくい?その理由とは

二世帯住宅を売却しにくい理由には、「需要が少ない」「売却価格が高い」の2つがあります。以下で詳しく説明します。

需要が少ない

二世帯住宅が売却しにくいのは、二世帯住宅の需要が減少したことが理由のひとつです。

2020年の国勢調査によると、5人以上の世帯は2015年に比べて10%低下し、反対に2人以上の世帯は10%増加しました。祖父母と親子世代が同居する「3世代世帯」の数も年々減少しており、2020年には10%を切っています。

このように核家族化が進んだため、二世帯住宅の中古物件への需要も減っているのです。

売却価格が高くなる

二世帯住宅は、一般住宅と比べて土地や建設面積が広く、世帯数に合わせて設備も多いため売却価格が高くなる傾向にあります。

また、同様の理由で一般住宅より建築費用がかかるため、売主としては費用を回収したい意図もあり売却価格を高めに設定しがちです。

そのため、二世帯住宅は中古住宅の中では割高になってしまい、売れにくいのです。

二世帯住宅の売却は種類によって方法が変わる

二世帯住宅と一口に言っても、形態により種類が異なります。その二世帯住宅の形態に合う方法で売却するとスムーズです。ここでは、二世帯住宅の種類や特徴について説明します。

二世帯住宅の3つの種類

二世帯住宅には、「完全分離型」「一部共用型」「完全同居型」の3種類があります。それぞれ以下で詳しく説明します。

1.完全分離型
完全分離型とは、親世帯と子世帯の生活スペースを完全に分けた二世帯住宅を言います。分離の形態には、1階と2階など階数で世帯を分離しているパターンと、左右で分離しているパターンがあります。

それぞれ、個別の住宅として完結した機能を持っているため、世帯ごとにプライバシーが確保できるのがメリットです。しかし、トイレや浴室、キッチンなどの設備をそれぞれ準備する必要があるため、建設コストや光熱費がかかります。

2.一部共有型
一部共有型とは、それぞれのプライベート空間は分けつつ、キッチンや浴室など一部のスペースを共有している二世帯住宅です。

プライバシーに配慮しながらも、ほどよい距離感を保てることがメリットです。また、キッチンなどの水回りを共有するため、光熱費を抑えられます。

その一方で、共有部分の使用方法や使用時間帯など、意見が対立しがちなのがデメリットです。また、プライバシーを完全には守れないため、お互いのストレスとなる可能性もあります。

3.完全同居型
完全同居型とは、親世帯と子世帯で全てを共有するタイプの住宅です。戸建てに二世帯で住むようなイメージで、間取りも一般住宅に近いのが特徴です。

そのため、二世帯住宅の中では、比較的建設コストや生活コストが抑えられるのがメリットです。ただしプライバシーの確保が難しく、トラブルに発展するケースが多いため、完全同居を選ぶのは覚悟が必要と言えます。

完全分離型の売却方法

完全分離型の二世帯住宅を売却する方法は、3つあります。

まず、通常の二世帯住宅として売り出す方法です。二世帯住宅の中古物件を探す人たちのなかでも、各世帯の居住スペースを完全に分けたい人をターゲットに販売活動をします。ただし、前述した通り二世帯住宅の売却は価格設定が割高になるため、売れにくいというデメリットがあります。

次に、賃貸併用住宅、2戸のアパート、テラスハウスなど、二世帯住宅以外の用途で売り出す方法です。住宅を分けて売却するため、購入価格を抑えて設定でき、購入希望者を見つけやすいのがメリットです。

最後に、店舗や事務所として売却する方法です。ただし、用途地域や床面積の条件を満たしている場合に限ります。

完全分離型以外の売却方法

一部共有型、完全同居型の二世帯住宅を売却する方法は、3つあります。

まず、前述と同様に二世帯住宅として売却する方法です。通常の戸建てより需要が少なくはありますが、まずは一度売買活動をしてみるのはひとつの手です。

次に、シェアハウスとして売り出す方法があります。一部共有型や完全同居型は、完全分離型と異なり分けて売り出すことができません。しかしシェアハウスであれば、部屋数の多さと広い面積を活かした売り出し方ができます。

居住用としてではなく、不動産投資用物件として売却するのも良いでしょう。賃貸として運用するなどの目的で、物件を購入したい人に向けて売り出すのも一つの手段です。

二世帯住宅を売却するときの5つのポイント

二世帯住宅を売却する際は、抑えるべきポイントは5つあります。「実績のある不動産会社に依頼する」「価格を下げる」「リフォームする」「収益物件として売却する」「不動産会社に直接売却する」について詳しく説明します。

1.実績のある不動産会社に依頼する

二世帯住宅の販売に慣れている不動産会社に相談するのが、ポイントのひとつです。

前述の通り、二世帯住宅は通常の住宅よりも需要も低く、さまざまな売却方法を検討する必要があります。そのため、二世帯住宅ならではの売却ノウハウを持った不動産会社に相談することが重要なのです。

不動産会社を選ぶ際には、複数の候補を比較すること、二世帯住宅の売却実績があることを確認するようにしましょう。

2.売却価格を下げる

売却価格を下げるのも一つの手段です。前述した通り、二世帯住宅は面積が広く、建築費用も高くつくため、売却価格は高くなる傾向にあります。そのため、価格面で購入希望者の選択肢から除外されがちです。

売却価格を下げれば、選択肢に入れる購入希望者が増えるため、買主が見つかる可能性が高まります。その一方で、売却価格をどれくらい下げればいいかの判断は難しいもの。プロである不動産会社の意見を聞きながら決めると安心です。

3.リフォームをする

一般住宅と同じ間取りにリフォームするのもよいでしょう。一般住宅としての間取りは需要が高いため、売れやすくなる可能性があります。

しかし、リフォームするには数十万から数百万円と費用がかかりますし、確実に売れるという保証もありません。また、自分好みにリフォームしたいという買主もいるため、リフォームすることが吉と出るかはわからないのです。

リフォームをする前に、不動産会社などの専門家に相談して決めた方が無難でしょう。

4.収益物件として売却する

賃貸住宅や賃貸併用住宅、シェアハウスなどの収益物件として売却するのもよいでしょう。「完全分離型以外の売却方法」で前述したとおり、収益性がある物件は不動産投資や賃貸併用住宅などを探している人にマッチします。

その一方で、大幅な値下げ交渉をされるケースがあるため気をつける必要があります。物件を活用するまでにかかる費用分として値下げを求められることがありますが、経験の少ない不動産会社や買主の場合、通常より低い価格を求められる可能性があるのです。

損をしないためにも経験豊富な不動産会社に相談するのがおすすめです。

5.不動産会社に直接売却する

なかなか売却できない場合は、不動産会社に直接売却する「買取」という方法もあります。

不動産買取業者は、購入した中古住宅をリフォーム・リノベーションを施し、更に資産価値を高めてから売却するノウハウを持っています。そのため、二世帯住宅も現状のまま買い取ってもらえるのです。

相場よりも買取価格は低くなりますが、早く売却できるためすぐに手放したい人に向いている方法と言えるでしょう。

二世帯住宅の売却は専門の不動産会社に相談しよう

二世帯住宅は、通常の戸建てに比べて売却しにくいものです。なぜなら、需要自体が少なく、売却額も高くなりがちだからです。

売却の方法は、大きく「二世帯住宅として売る」「二世帯住宅以外の形態で売る」の2つがありますが、二世帯住宅の種類によって最適な売り方が異なります。まずはノウハウのある不動産会社に相談し、売却方法を検討するのがおすすめです。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。