- 2024.03.19
不動産売却したら火災保険金は返ってくる?解約のタイミングと方法もチェック
不動産を売却したら火災保険は解約した方が良いといえます。なぜなら火災保険をまとめて支払っていた場合、未経過分として解約返戻金があるからです。
また、自分で解約しないと契約期間まで継続になり、損をしてしまいます。ただし、解約するときには適切なタイミングがあるため、理解しておくことが大切です。
この記事では、不動産売却をして火災保険を解約するタイミングや方法、注意点や火災保険以外で戻ってくるお金も併せて解説します。
目次
不動産売却したら火災保険はどうする?
不動産を売却したら火災保険は解約すべきです。なぜなら火災保険は自分で解約しない限り、契約期間満了まで適用され続けるからです。
自動更新に設定している場合、不動産の売却後も保険料の引き落としが続き、余計な出費となる可能性もあるでしょう。
また、火災保険を自分で解約すると、契約期間が残っている場合は解約返戻金が入ります。
例えば、不動産購入したタイミングで35年間の火災保険を長期間契約して一括払いをし、20年後に売却した場合、残り15年分の保険料が未経過分として返ってくる仕組みです。
不動産を売却するときは、合わせて火災保険の契約期間を確認し、解約申請しましょう。ただし、解約には適切なタイミングがあるので後述で紹介します。
火災保険の解約返戻金はいくら?
火災保険の解約返戻金は、以下の計算式で算出できます。
<計算方法>
支払った保険料×未経過料率(払戻率)
ただし、契約した期間の残りが1ヶ月以上ある場合に限ります。また、未経過料率(払戻率)は加入している保険会社によって異なるため、問い合わせて事前に確認しておきましょう。
不動産売却して火災保険を解約するタイミング
火災保険を解約するタイミングは、不動産の引き渡しが完了し、名義が変更されてからが良いでしょう。
名義変更するまでは家の所有者であるため、万が一災害が起きた場合、売主が修繕費を負担しなければならないからです。
名義変更の前に火災保険を解約してしまうと、多額の金額を支払うことにもなり兼ねません。実際、引き渡す前の空き家の状態で火災が起きてしまうケースも発生しています。
このようなリスクを避けるためにも、引き渡し後、名義変更されてから火災保険を解約することをおすすめします。
不動産売却して火災保険を解約する方法
不動産売却をして火災保険を解約するには、保険の加入者本人が解約申請をして手続きを行う必要があります。解約するまでの手順は以下の通りです。
- 1.火災保険会社の確認をする
- 2.火災保険の解約申請をする
- 3.指定の口座に解約返戻金が振り込まれる
それぞれの手順を見ていきましょう。
1.火災保険会社の確認をする
まずは、加入している火災保険会社を確認します。確認方法は主に以下の3つです。
【確認方法】
- ・保険証券を確認する
- ・保険会社から送られるお知らせで確認する
- ・引き落としを設定している通帳で確認する
保険証券とは、保険の契約後に保険会社から郵送される契約内容が記載された証書のことです。保険証券を見れば保険会社と共に、保険内容も確認できます。
また保険証券でなくても、定期的に保険会社から送られてくるお知らせでも確認可能です。
保険料の引き落としを設定している場合は、引き落とし口座の通帳で取引内容を見ると確認できるでしょう。
2.火災保険の解約申請をする
保険会社が確認できたら、火災保険の解約申請をします。解約申請は以下の通りです。
- ①契約している保険会社に電話
- ②解約したいと伝える
- ③保険会社規定の方法で申請をする
保険会社によって申請方法は異なり、窓口のみの対応の場合や、電話やインターネット上でも申請できる場合があります。窓口以外の申請方法では書類が郵送され、署名や捺印など必要事項を記入して返送する流れです。
3.指定の口座に解約返戻金が振り込まれる
解約指定した日に契約は終了し、数日後に解約返戻金が指定の口座に振り込まれます。
書類で手続きした場合は、郵送などで解約手続きが完了するまで多少時間がかかることも考えられるでしょう。
また、返金までの期間は保険会社によって違うため、気になる場合は事前に確認しておきましょう。
不動産売却して火災保険を解約するときの注意点
不動産売却して火災保険を解約する際の注意点は、主に以下の3点です。
- ・解約しないと火災保険は継続される
- ・火災保険は買主に引継ぎしない方が良い
- ・解約前に修繕する箇所がないか確認する
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
解約しないと火災保険は継続される
先述した通り、火災保険は解約しないと契約期間まで継続されます。不動産売却が成立しても、火災保険は自分から解約しない限り、契約満了期間まで適用されるのが一般的です。
また、自動更新にしている場合、契約期間が終了しても自動的に契約更新される場合もあるため注意しましょう。
不動産を売却するときには、必ず火災保険の契約期間を確認し、不動産の引き渡し後、名義変更後に解約申請の手続きをすることを覚えておきましょう。
火災保険は買主に引継ぎしない方が良い
火災保険の解約で「買主にそのまま引継げないのか?」という疑問が浮かぶかもしれません。
不動産売却した場合でも、火災保険は自動的に引継がれることはありませんが、自ら申請することで、引継ぎや名義変更は可能とされています。
ただし「離婚・相続・贈与」などが理由で不動産売却をする場合や、保険の種類(掛捨型・積立型等)によっては、手続きが複雑になるため、買主への引継ぎはおすすめできません。
売主は引き渡し後に火災保険を解約し、買主は新たに火災保険に加入するのがスムーズといえるでしょう。
解約前に修繕する箇所がないか確認する
火災保険を解約する前に下記の事由によって修繕するところがあれば、保険を使って修繕した方が良いでしょう。
火災保険は火事だけでなく、事故や水害、風害、雪害、落雷などで壊れた箇所も保険の適用になるからです。
しかしこれらに該当する破損であっても、火災保険を解約してしまったあとでは、修繕費はすべて自己負担になります。
そのため火災保険に加入しているうちに、壊れた箇所を修繕しておくのがおすすめです。
不動産売却時に火災保険以外で返ってくるお金
不動産売却時には、火災保険以外でも返ってくるお金があります。
- 1.住宅ローンを組んだときの保証料
- 2.固定資産税や都市計画税
- 3.マンションの場合は管理費や修繕積立金
上記3つについて、それぞれ解説していきます。
1.住宅ローンを組んだときの保証料
不動産を売却すると、住宅ローンを組むときに支払った「保証料」が返ってきます。銀行や不動産購入者の年収によって異なりますが、基本的にローン総額の約1~2%です。
住宅ローンを組む際に、保証料は一括または分割で支払うか選択できます。一括で支払った場合は、未経過分が返ってくる仕組みです。
銀行や保証会社によって返金額の計算方法が異なる場合があるため、問い合わせて確認することをおすすめします。
2.固定資産税や都市計画税
不動産を所有していると必ず課税される固定資産税は、毎年1月1日時点での不動産所有者が1年分をまとめて支払います。
年度の途中で売却した場合、残りの月数分の金額を買主に払ってもらえるため、多く払い過ぎた分が返金されるというわけです。
また、市街区域内に不動産を所有している場合、都市計画税もかかりますが、これも固定資産税同様に多く払っている分が返金されます。
不動産会社に仲介を依頼している場合は、返金の計算や買主への支払いの請求など不動産会社が行ってくれるため、売却時には返金される仕組みになっています。
3.マンションの場合は管理費や修繕積立金
マンションであれば、月々支払っている管理費や修繕積立金を買主に請求できます。固定資産税や都市計画税と同様、月に支払った金額の未経過日数分を請求可能です。
こちらも不動産会社に仲介を依頼している場合は、返金の計算と買主への支払いの請求、徴収などをしてくれるので安心して任せて良いでしょう。
不動産売却したら火災保険の解約を忘れずに
火災保険は不動産売却をしたあとも、解約しない限り契約期間満了まで継続されます。自動更新されて無駄な出費を払うことにもなり兼ねないため、忘れずに解約しましょう。
解約するタイミングは、不動産の引き渡しが完了し、名義が変更されてからがベストです。災害のリスクも想定し、適切なタイミングで火災保険の解約を進めていきましょう。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。